学問・資格

2024年3月 1日 (金)

地方自治法第113条における「定足数」について(注:2024年3月5日追記あり)

 去年受けた行政書士試験に落ちてしまったため、現在復習し、少しでも苦手なところを克服すべく努力しているところです。
 今年はアガルートとは縁を切り、LECの教材である「2024年版 出る順行政書士 合格基本書」を使用しています。

 その中で、アガルートと同じことが記載されており、去年非常に疑問を感じたところがあったため、調べてみました。
 LECの教材では、510ページ欄外*4として記載されていることです。
 内容は、以下の通りです。

 「定足数は、会議開会のための要件であるだけでなく、議事要件、議決要件でもあります。」

 その元になっている記述は、511ページ(b)の定足数の原則という部分です。
 (113条1項本文となっていますが、113条には項が存在しないため、113条本文の誤りだと推測されます。後日問い合わせを行う予定です)

 113条本文は、以下のようになっています。

「普通地方公共団体の議会は、議員の定数の半数以上の議員が出席しなければ、会議を開くことができない。」

 しかし、この条文には但し書きがついております。以下に記載します。
 なお、後で参照するために条文にはない()で、要件を区切る形を取ります。

「但し、(1)第117条の規定による除斥のため半数に達しないとき、(2)同一の事件につき再度招集してもなお半数に達しないとき、又は(3)召集に応じても出席議員が定数を欠き議長において出席を催告してもなお半数に達しないとき若しくは(4)半数に達してもその後半数に達しなくなつたときは、この限りでない。」

 私が疑問を感じ、何度もアガルートの講師に質問したものの、全く的外れな回答しか返ってこなかったのが、(4)の要件です。
 半数に達してもその後半数に達しなくなつたとき、というのは、当初半数に達していたため定足数を満たしていたものの、その後退席などによって定足数を割ることになったという事であり、検索してみたところ、この但し書きに該当する時であっても議事は成立するという文章がありました。


 地方自治研究機構の、議事運営Q&A 連載54回のQ4がそれに該当します。
 この質問の中で但し書きに該当する場合であっても、議事は有効に成立すると記載されており、明らかにLECの教材の欄外と矛盾する記述となっております。

 また関連する条文として、同じ地方自治法の第179条に、長の専決処分に関する規定が置かれています。
 この中の第1項を、以下に記載します。
 113条と関連する部分には、下線を引きます。

「普通地方公共団体の議会が成立しないとき、第113条ただし書の場合においてなお会議を開くことができないとき、普通地方公共団体の長において議会の議決すべき事件について特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認めるとき、又は議会において議決すべき事件を議決しないとき」に、長が専決処分(議会の承諾を得ずに事件を処分すること)できるとされています。

 こちらについても、Webで検索してみました。
 その結果、総務省作成の「専決処分に係る論点について」というスライドの中に、下線部の答えが掲載されていました。

 第113条ただし書の場合においてなお会議を開くことができないときというのは、「出席議員の数が議長の他2名を下る場合」とされています。
 根拠となる規定がなく、Webの情報をかき集めた結果という形になりますが、2名を下回る場合は「多数決」の原理が働かないことから、議会の成立を認めることができないというのが理由として挙げられています。

 このことは逆にいえば、出席議員が2名以下になってしまうような「極端な事態」でない限り、定足数を満たしていない状態であってもただし書によって会議を開き、議決することができるという読み方が可能になります。
 そうなると、会議開催の要件、議事要件、議決要件として定足数が求められるという記述は明らかに、誤ったものであると解釈するしかありません。

(2024年3月5日追記前の、私の考え方です。もっとも後述の資料を見ることで分かるように、この時点では結論としてこうならざるを得なかったというのも、理解できると思います)

 ここまで読んでいただければ、定足数に関する記述について、LECのテキスト(及びアガルートのテキスト)の記述に問題があることは理解していただけると思います。
 この原則を守る自治体も存在していますが、それは「条例によって定足数を割ったときに、どう対応するかをあらかじめ決めている場合」であるため、定足数全般に該当する原則と呼べないことは明らかです。

 過去の自分がどうしても理解できず、理不尽であると感じていたことであるため、こうして記事にしました。
 この部分で疑問を感じている方の参考になれば、幸いです。

 

 3月2日 追記

 LECから回答があり、個人的に納得できない部分もありながらも、少なくともアガルートよりは遥かにまともな形でした。

 議決要件としてはあくまでも、定足数を満たすことが要求され、133条ただし書は「例外」とのことです。

 この部分では、アガルートのテキストは「原則」として記載されていたため、この理論が受け入れやすい形になりますが、LECのテキストにおいては「必要があります」という記載になっているため、注意が必要です。
 試験問題で「必ず定足数を満たす必要がある」という記述があった場合は×をつけるのが正しいという事になることは、知識として必要になると考えます。

 133条ただし書の要件を満たさない形を想定すると、最初の段階で定足数を満たしていない状況で、かつ招集手続きを踏んでいない状況における議決は、効力を有しないという事になります。
 ただ、議事要件という単語の意味(議事を行っている間は、常に定足数を満たしている必要がある)を考えると、こちらの方は私の書いた(4)の要件との関係で、疑問が残るとしか言いようがありません。
 明らかに(4)の状況は、議事中に退席した者が存在していた場合に、最初の時点で満たしていれば有効な議決が成立するという意味合いを有するため、これに関しては必要とされるのかどうか、少なくともweb上の知識だけでは判断できないと感じました。

 

 重要:3月5日 追記

 更に上記のことに対し、LECにもう一度質問したところ、定足数に関する制定当初の資料を得ることができました。
 これでようやく、議事要件、議決要件になりうることが自分の中では、ある程度の裏付けをもって納得することができました。

 制定時(昭和22年4月17日)の規定では、「議員の定数の半数以上の議員が出席しなければ、議事を開き議決することができない」となっており、憲法と同じく議決要件であることも明記されていたのです。
 ですが制定後間もない、昭和22年12月の改正によって現行の規定となり、議決要件である部分が削除され、現行規定に改められたとのことです。

 理由として「議事を開き議決する」という文言では「議会の選挙」(地方自治法第103条1項等)が含まれないと解釈される恐れがあったため、議決という言葉を削ったという歴史的経緯があり、そのため現行の文言では議事、議決の定足数であることは読み取れないものの、現行の文言もそれが含まれるという解釈がなされるというのが、学説の流れとして定着している(=通説、(慣習法))とのことでした。
(新基本法コンメンタール 地方自治法 という書籍に、その辺りが記載されているとのことです。機会があれば、図書館で確認する予定です)

 このことの表れとして、東京都議会会議規則第9条を考えることができるのかな? と思います。
 規則の制定権は地方自治体の「長」が制定するものであり、法律に違反しない限りにおいて制定することができるとされています(地方自治法第15条1項)。
 そして、この規則において地方自治法第113条ただし書の適用が排除されていることが、元々の規定から導かれる議事要件が原則であることから、正当化される(113条ただし書に反していても、有効な規則として扱われている)という考え方になると思われます。
(あくまでも、頭の中で整合性をとるためにこうなっているであろうという流れを記載しただけなので、もっと直接的だったり、分かりやすいものが存在しているかもしれませんが、学者ではないためその点はご容赦願います)

 Web上の情報だけでは、この辺りはどうしても入手することができず、体型的にもなっていなかった部分であるため、非常に助かりました。
 アガルートにおいては、それこそ「ご飯論法」のようなはぐらかしを行い、こちらの問いに対して資料を提供したり、きちんと答える意思が全く見られなかったことと比較すると、雲泥の差であると感じました。
 LECの方々に、深く感謝申し上げます。

2024年2月 8日 (木)

教わったことと当てはめること

 行政書士試験が不合格であったため、過去問、特に記述式を中心に復習しているところです。

 その中で、平成30年度問題44に対し、かなりキツイと感じるところがありました。

 事案を簡単にまとめると、申請を行ったにもかかわらず、その場で申請書を突き返されてしまったこと、更にインターネットで直接申請書をダウンロードして申請を行う省庁に送付したところ、それが返送されてしまったという状況において、誰に対してどのような訴えを行うべきかというものです。

 行政手続法の7条で、申請が事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならず、要件に適合しない申請については申請の補正を求め、又は申請により求められた許認可等を拒否しなければならない と規定されています。
 その場で拒否されたり、あるいは返送されるという状態がこの条文に当てはめると、違法な状態であることは読み取ることができます。

 ですが、それをどのような訴えをもって行うかと考えた時に、テキストなどの知識だけでは困惑するところです。
 これは私の持っているテキストの中身が悪いからかもしれませんが、テキストに記載されている訴訟の形式に対する知識だけでは、今回どの類型を選んだらよいのか、非常に分かりにくい問題形式になっています。

 ちなみに、今回当てはめるべき訴訟類型は「不作為の違法確認の訴え」(+申請内容の義務付けの訴え)となります。
 ただし、行政事件訴訟法第37条の記載はこうなっています。

 「不作為の違法確認の訴えは、処分又は裁決についての申請をした者に限り、提起することができる」

 テキストやwebでは、同法3条5項の規定を引用し「不作為の違法確認の訴え」とは、行政庁が法律に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいう という説明から、申請をしたにもかかわらず、処分(棄却や却下を含む)が下されない時に行うものという説明がなされています。

 今回の問題では、申請は行っているのであるから、後は処分がされないことを前提としてこの訴訟類型を選ぶという事になっていますが……かなり発想の飛躍がなければ、たどり着けないように感じられます。

 一応、完全整理択一六法の行政法では、実体要件として相当期間を未だ経過していなくとも、処分をいつなすか全くの未定であり、処分に至るまでに相当期間が経過することが明らかな場合には、違法となりうるという考え方が示されているため、返送という明らかに処分を行う意思を有していないという事を証明することで、相当期間経過前に訴訟を起こしたとしても却下されることはないだろうことは想定されますが、その辺りについても通常のテキストでは掲載されていない部分であり、今回の答えを導く上で障害になる部分だと思います。

 実際、行政手続法が改正された当時に論争があり、返送は申請の拒否処分に当たるのではないかという事が争われた事案があるようです。
 それが棄却されたことで、不作為の違法確認の訴えを用いることが一般化されたようですが、この辺りも検索して細かく調べ、それによってようやく判明するようなことであり、それをその当時の受験生が知っていることを期待するというのは無理ではないかな? と感じてしまいました。

 あくまでも個人的な感想ではありますが、これは普通に勉強していれば解けるという性質の問題ではないように感じます。
 ひとひねりしただけ、と言われるかもしれませんが、それが相当厄介な部分だと思いました。

2023年1月24日 (火)

大学入試共通テストにおける、定規の使用に関する私見

 今年も、全国学力テストにおいて定規を使用したということで、静岡(及び東京)で一人ずつ、失格者が出てしまいました。
 いろいろと調べてみると「定規を使うことで、解き方が分からない問題であっても概算の答えを導き出せてしまう」ということから、使用を禁止されているということです。

 それ自身に対しては、ある程度納得できます。
 ですが去年も述べたことですが、「代替措置」を講じることなく一律に禁止しているのであれば、それは大きな問題をはらんでいると言わざるを得ません。

 障害者の中には、さまざまな特性を有しているものが存在します。
 そして、その中には「長文を読もうとすると、視覚に入ってくる情報が多すぎて、把握できなくなる」というものも、存在しているのです。

 この場合、障害を克服する方法として「一文ずつ読む」という方法があります。
 そのために「補助具」として何かしらの「道具」を使うというのは、その人にとって必須なのです。

 言うならば「目が悪い人に、道具の使用を禁止していることからメガネを取り上げる」のと、同じようなことをしているのです。
 これがどれだけ「不平等」であるのかは、容易に想像ができると思います。

 もちろん、「定規を使うことで、不平等になる」という点は私も認めます。
 ですが「無色の下敷きを貸出し、試験後に返却させる」という代替手段は、それによって他の受験者に対し、特段有利になる条件ではないと考えます。

 これに関しては、私の考え方に近い判例が存在します。
 最判平成8年3月8日の「エホバの証人剣道実技拒否事件」というもので、宗教上の理由でその学校で必修となっていた剣道実技を拒否した結果、原級留置処分(留年)、退学処分に至ったため起こされた裁判です。

 判決の中で「信仰上の理由による履修拒否と、正当な理由のない履修拒否と区別することなく、また代替措置について何ら検討することもなく行った学校側の措置は、考慮すべき事項を考慮しておらず、社会通念上著しく妥当を欠く処分である」として、学校側を敗訴させました。

 これとほぼ、同じことが当てはまると思います。

 脳の構造上「必要である、一行ずつ読むための手段」であることを考慮せず、また「下敷き」などの代替措置を検討することなく行われているのだとしたら、それは障害者をそうであるという理由だけで排除していることになると考えます。

 細かい部分はネット上では追いきれなかったため、もし「事前に申告していれば、そのような措置をとることができた」のであれば、的外れな意見になることは承知しています。
 ですが、少なくともニュースになっている事項を見る限りにおいては、個人的には「問題のある対応」ではないのかと思わずにはいられませんでした。

2023年1月16日 (月)

定款変更の誤記?

 私は、いくつかの会社の株式を保有しています。
 投資目的というよりも、一種の趣味に近い感覚ではありますが、今のところ巨額の損失は出しておらず、配当金や株主優待も含めればほんの少しだけプラスになっているかな? という状態です。

 そして、株主には配当金、株主優待とともに、株主の権利として株主総会の議決権が存在します。
 会社の重要な事項を決めるための会議であり、それは資本を出している株主の意向によって決議されるべきという発想から、設けられている制度です。

 そんな中、一社から配当金の通知(いくらなのかが記載されています)、及び株主総会の議決のためのハガキが届きました。
 この会社は株主総会において、Web上での権利行使を行っていないため、ハガキを返送する形で権利行使する予定です。
 株主総会にわざわざ行くことで、さまざまなリスクを負う必要は無いため、これ自体は全く問題ないのですが……定款(会社にとって法律のようなものです)の変更が議決に含まれており、その中でかなり気になる記載を見つけてしまいました。

 前提知識として、株主総会で決定されたことは、その総会が開かれた時点で効力が発生します。
 そのため、一定期間の経過が必要なもの(例を挙げれば、4月1日から施行される民法の規定に合わせる必要があるもの)、及び許可や認可が必要なものについては、それを条件として定款本文の効力を発生させるという「附則」をつけることができます。

 書き方としては、こんな感じになります。

 第6条 本会社の定時株主総会は、事業年度終了後3カ月以内に召集する。
 第6条第2項 当会社は、株主総会を場所の定めのない株主総会とすることができる。
 附則 定款第6条第2項の変更は、〇〇大臣の確認を受けた日をもってその効力を生じる。

 この書き方によって、第6条第2項の効力が生じるのは、〇〇大臣の確認を受けた日ということになります。

 そして、附則によって効力が発生した後は、この附則自体は存在する意味がなくなります。
 あくまでも第6条第2項の規定を、遅らせるためだけに設けられた規定であるからです。

 そのため、附則にこのような文言を加えることがあります。

 附則 定款第6条第2項の変更は、〇〇大臣の確認を受けた日をもってその効力を生じる。本附則は、効力発生日経過後にこれを削除する

 こうすることで、〇〇大臣の確認を受けた日に附則が削除されることになり、定款に附則が残らない形になります。

 

 ところが、今回送られてきた議案では、このようになっていました。

 附則 定款第6条第2項の変更は、〇〇大臣の確認を受けた日をもってその効力を生じる。本条は、効力発生日経過後にこれを削除する。

 いろいろと調べてみたのですが、この書き方では誤解を招く恐れがあると感じました。

 基本的に、附則は法律の本文の後に、「附則」という形で別途記載されるものです。
 そして、「附則第〇条」という記載になっているため、その知識を前提とするのであれば、ここで記載されている「本条」という文章は、附則のみに適用されるというのが分かります。

 ですが、法律知識のない人が読んだり、または知識が不十分(実は、私もこちらに分類されました……記事を書きながら、調べて判明したためです)であったりすると、この附則はとんでもないことが書いてあるという解釈になってしまいます。
 「附則によって、本法の効力が発生し、その後に記載されている事項によって本条(=本法)が削除される?!」

 ……実際、ネット上でいくつか調べた限りでは、「本附則は」の方の記載が中心でした。
 加えて、「本条は」を利用するパターンとして、「会社の種類変更」の事例(例:株式会社から合同会社に変更する場合の記載)で「第6条 当社は、株式会社〇〇とする」の後に、「第17条 上記定款は〇〇株式会社を組織変更する〇〇合同会社につき作成したものであり、種類変更が効力を発生した日からこれを適用するものとする。なお、本条は効力日発生後にこれを削除する。」を付け加える形(抜粋)で掲載されていました。
 このパターンでは、附則ではなく本条として第17条を付け加えたうえで、それを削除するという形をとっております。

 確かに、附則も「条文」として独立した形式をとっているのは事実です。
 ですが、今回の株主総会の招集通知の場合、単に「附則」とだけ書いてあり、「附則 第1条」という記載になっていませんでした。
 そのことから、より私のような誤解、本条そのものが削除されるという考えを生む書き方になっているのではないかと感じました。
 誤解を招かないようにするためには、やはり「本条」ではなく、本規則」と書くことで、削除される範囲を明確にする必要があると思います。

 行政書士ではなく、この知識が必要になるのは司法書士の方だと思います。
 ですが、自分自身への備忘録も兼ねて、記事にさせていただきます。

2023年1月14日 (土)

行政書士講座で利用中の「アガルート」に対する感想

 私が現在、行政書士を目指すために利用している会社は、「アガルート」というところです。
 ここの特徴として、「合格者に対するリターンが大きい」という点が挙げられます。
 他の会社では、「条件を満たした人が万が一落ちた場合は、返金する」というものもありましたが、「確実にとる」というモチベーションを保つため、こちらを選択しました。

 もう一つの特徴として、講座の料金が相当高いということがあります。
 割引制度は存在しているのですが、それでもほかの会社の設定している金額に対し、かなり高額(15~20万円)になっております。
 その代わりとして、合格者で一定のことを行ったものに対して、Amazonのギフト券や全額返金などのサービスを行っているという形をとっております。

 そして、現時点での感想ですが……「良い部分と、悪い部分が極端に分かれている」というのが、正直な感想です。

 まず、良い部分ですが……これは「テキストの出来がいいこと」、及び「講座の内容が非常に分かりやすいこと」です。
 テキストの内容に沿って講座が行われるのですが、重要なところに線を引く形をとっており、基本的に「ノートを使う必要がない」レベルの詳細な知識が得られるという点は、大きな魅力であり、実際合格したい人にとって選ぶ理由になると思います。

 そして、悪い部分なのですが……これは、いくつか挙げざるを得ないです。

 まず1点目として「ホームページに書かれていることに、虚偽表示がある」ということです。
 具体的には「質問制度」に関することであり、ホームページの説明では「分からないことは無料で何度でも質問できる」という書き方をしています。

 ですが、実際に登録し、Facebook(これを利用することが、悪い部分と感じる人もいるかもしれません)のページにアクセスしたときに、とんでもないことが書いてありました。
 質問で答えることはあくまでも「テキスト、問題集、及び講座の内容だけ」であり、「それに関連すること、六法の条文、民法で新しくなりまだテキストに掲載されていないこと」に対しては、質問できないと明記されております。

 正直、これを見て私が感じたことは「羊頭狗肉」です。
 実際この点に関しては、消費者庁のネットで行える広告に関する違反の部分で指摘させていただきました。

 そして、2点目として「カスタマーセンターの態度が非常に悪い」というものがあります。

 こちらに関しては、私にも多少の非があるのは事実です。
 なぜならば、本来質問事項はFacebookを利用するべきであるにもかかわらず、カスタマーセンターに直接質問していたためです。

 ですが、1点目で述べたことを考えれば、仕方ない……というよりも、「それ以外の方法がない」のが実情です。
 そして、今回全くメールの内容を確認しないまま、機械的に「あなたが間違っている」という返答が来て、非常に怒りを覚えました。
 指摘したことはそれこそ、一目見れば分かるレベルのことであるにもかかわらず、こちらが間違っているという返答なのですから……もはや、匙を投げるしかないという気持ちになるのは当然だと思います。

 上記のことから「質が高い講師と、極端に質の低い運営」という構図になっていることが分かると思います。
 それを納得した上で選ぶのならば、学習効率が良いため勧められるのかな? というのが結論になります。

 正直、個人的には「現時点ではお勧めできない」です。
 講義の内容でどう考えても、間違っている部分を確認することすらできないような状態であるため、フラストレーションがたまっており、非常にストレスを感じながら利用している状態ですから。
 もちろん「講座の内容は優れている」ので、退会することは考えていないですけれどね。
 絶対に合格し、見返してやるという気持ちで頑張っているところです。

2012年3月 6日 (火)

国籍取得における、民事局の矛盾!

 昨日は、「研修」がありました。
 基本的には、参考になることばかりで…非常に良かったのですが、一点、凄まじく「許せない」ことがあったため、急遽記事にします。
 おそらく、多くの人が、「共感」してくれると思うのですが…。

 国の機関、「法務局」(http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/)の仕事の一つに、「国籍事務」というものがあります。
 これは、「外国人が日本人になるための手続き(帰化)」などなのですが…その中に、「届出による国籍取得」というものがあります。

 この関係は、平成20年に、大きく改正されました。
 今までは、「婚姻が要件だった」のですが、「認知だけで日本国籍が取得できる」ようになったのです!

 このことで、法務局の負担は、大きく増えました。
 婚姻の場合は、まだ「簡単にはできない」(重婚が禁止されていたり…)のですが、認知は「割と簡単にできる」のですから。
 当然、「偽装認知」などの問題も、出てきます。

 そして、その負担は…全て、法務局に丸投げ、なのです。
 国会の付帯決議で、「法務局がきちんと調査すること」、及び、「警察との連携を取ること」が条件だったので…。

 これだけならば、まだ許せます。
 しかし、最大の問題は、「血縁を確認するための、DNA鑑定が、要件とされていない」事なのです!

 当然、「偽装認知」を防ぐ、最大の方法は…「血縁であることを確認する」事だと思います。
 そして、そのために、現代最も有効な方法は、DNA鑑定であることは、ほぼすべての人に、理解いただけると思います。
 それにもかかわらず、「民事局は、むしろDNA鑑定をしたがらない」のです!!

 はっきり言って、「偽装認知を、推奨している」としか、私には思えません。
 その上で、「偽装だと分かったときは、すべて法務局が責任を負う」のですから…。
 しかも、その問題を「ナーバスなもの」と位置づけて、下手に問題提起すると、「民事局として、怒り出す」らしいのですから…もはや、呆れてものも言えません。

 こういう連中を、「給料泥棒」と呼ぶのだと思います!
 こんな民事局の連中を、のさばらせている現在の政権…。
 まさに、「まじめにやっている公務員を、コケにしている」と思います!

 もし、納得できる説明があるのならば、ぜひしてください。
 おそらく、「まともな説明は、期待できない」と思いますけれどね。
 そのくらい、民事局に対する不信感は、強いです…。

 今日のオススメ動画は、「なし」とさせていただきます。
 申し訳ありません。

2006年9月 9日 (土)

大人の宿題

 来週の、水曜日に、本社において「勉強会」が予定されております。
 その前準備として、火曜日までに原稿用紙3枚程度の「レポート」を書かなければならないとの事…。
 法律関連に精通していないと、問題の「意味」さえ分からないような、かなりの難問です。
 (民事執行法と、民法、そして更に別の法律の三つが絡むというものです…うわーい)
 しかも、課題が来たのが、今週の水曜日だったので、期間は一週間もありません。

 恐らく、「課題の提出者」自身が、宿題の提出遅れの常習犯だったのでは…と思わせる遅さ(笑)に、少々焦り気味。
 幸いにも、土日をまたぐ班(悲惨なのは、月曜日に勉強会をする最初の班で、火曜日に問題が届き、金曜日までに書かないといけませんでした)なので、今日と明日の二日間を使い、何とか仕上げようと思います。

 家でやるので、インターネットという便利なツールもありますしね。
 使えるものは、フル活用して、この「難問」に取り組まないと。

2006年6月 4日 (日)

PISAに対する一考

 注:今回の更新は、かなり複雑な内容の上、個人の主観が相当含まれています。興味のない方は、スルーしてください。

 伊豆こもれび茶房」というところで、「PISA」と呼ばれる、国際的な「読解力」を試させる問題が出ていました。
 これは、基本的には高校生レベルに対して出される問題なのですが、相当問題があるものだと思い、記事をあげることにしました。

 ちなみに、「完全版」の文章が入手できなかったため、以下の文章は、「レポート」に記述されたものに対する意見ということになります。
 もし、完全版と大きく食い違うため、前提がおかしな部分が見られるようでしたら、その点はどうかご容赦(あるいは、完全版を提示した上でご指摘)ください。

 このうちの一問に対する要約は、このようなものです。

 「落書き」要約1(2000年調査国際結果報告書所収) 学校の壁の落書きに頭に来ています。社会に余分な損失を負担させないで、自分を表現する方法を探すべきです。若い人たちの評価を落とすようなことを、なぜするのでしょう。建物やフェンス、公園のベンチは、それ自体が芸術作品です。落書きで台なしにするのは悲しいことです。それだけではなくて、落書きはオゾン層を破壊します。この犯罪的な芸術家たちはなぜ落書きをして困らせるのか、本当に私は理解できません。 ヘルガ

 「落書き」要約2   世の中はコミュニケーションと広告であふれています。お店の看板を立てた人は、あなたに許可を求めていません。それでは、落書きをする人は許可を求めなければいけませんか。あなた自身の名前も、非行少年グループの名前も一種のコミュニケーションではないかしら。 しま模様やチェックの柄の洋服の模様や色は、花模様が描かれたコンクリートの壁を真似たものです。そうした模様や色は受け入れられ、高く評価されているのに、それと同じスタイルの落書きが不愉快とみなされているなんて、笑ってしまいます。 ソフィア

 これに対し、問題は、
 「ソフィアが広告を引き合いに出している理由は何ですか」というものです。
 正解としては、広告を落書きの合法的な一形態として考えている、又は広告を引き合いに出すことが落書きを擁護する手段の一つであると考えているが、正解の例として挙げられていました。

 ところが、これは、日本人の感覚からすると、明らかに「おかしな」問題だと思います。

 まず、「人のもの」に対して落書きをすることと、「自分のもの」に対して落書きをすることが、同列で語られている点で、明らかに問題が乖離しているように感じます。
 日本では、「人のもの」に対して落書きをすることは、「器物損壊」に当たるため、そこで議論の余地なく、ソフィアの考えがおかしいとなっても不思議ではありません。

 次に、「落書き」をするのは、果たして自由なのでしょうか?
 日本においては、憲法上、「表現の自由」というのが保障されています。
 ただし、その範囲は無制限というものではなく、「他人の人権」や、「公共の福祉」を害さない限度において認められるものです。
 具体的には、落書きをすることで、他人の「精神の平穏を害されない権利」を侵害することになるため、たとえ自分のものであっても、人から見られるような形で落書きをすることは、問題があると思います。

 それらを総合すると、この問題に対して、日本人の無回答率が高いというのは、むしろ自然なことなのではないかとすら感じられます。

 また、この「PISA」というもの自体に対しても、疑問があります。
 読解力を世界全体で同じ問題で測るため、一見問題がなさそうに見えるのですが、実はこの問題の前提となる考え方が、「欧米諸国」などの、「議論中心」の国に非常に有利な作り方となっているように感じられます。

 もともと、「日本」は、「農耕文化」であったため、周りに合わせていれば大丈夫という風土がありました。
 そのため、「議論」というのは、あまり発達せず、むしろ「協調」が求められました。

 これに対し、「欧米」は、「狩猟文化」であるため、相手に対して適切な表現(狩猟をするためには、チームワークが絶対不可欠です)をすることが求められ、結果として「議論」が発達しました。
 この、文化による違いを、無理やり相手の基準に合わせる必要性が、私にとってはあまり感じられません。

 確かに、国際社会において、「議論」することができないと、対等に渡り合えないと言うのは分かります。
 だからと言って、日本独自の、「ある程度、言葉でいわなくても共通認識で相手に伝わる」という部分を、必ずしも捨てなければならないということは、ないと思っています。
 「議論」で解決すると言うことは、突き詰めれば「訴訟社会」への変化ということになり、むしろ「声の大きくて強いものが正義」という、危険な部分が含まれていると思います。

 確かに、「国際社会」で渡り合う人材には、この能力は必要だと思います。
 ですが、「国民全体」が、このように「議論」によって成り立つ考え方で統一されると言うのは、個人的には相当の不安を感じます。
 現に、アメリカのような訴訟社会は、人と人の関係が「ギスギス」しているように感じられます。

 個人的には、「指標」の一つとはなっても、それに「拘泥」する必要はないと思います。
 人の考えはそれぞれですし、また国民性によっても、ある程度の傾向はあるのですから、この物差しだけで、自国の読解力が劣っていると卑下するのは、間違いだと考えます。

 長文でしたが、私の考えは以上の通りです。
 今回に限っては、多少自分のポリシーに反しても、断定的な部分を加えさせていただきました。

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