« もう一年の努力 | トップページ | 地方自治法第113条における「定足数」について(注:2024年3月5日追記あり) »

2024年2月 8日 (木)

教わったことと当てはめること

 行政書士試験が不合格であったため、過去問、特に記述式を中心に復習しているところです。

 その中で、平成30年度問題44に対し、かなりキツイと感じるところがありました。

 事案を簡単にまとめると、申請を行ったにもかかわらず、その場で申請書を突き返されてしまったこと、更にインターネットで直接申請書をダウンロードして申請を行う省庁に送付したところ、それが返送されてしまったという状況において、誰に対してどのような訴えを行うべきかというものです。

 行政手続法の7条で、申請が事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならず、要件に適合しない申請については申請の補正を求め、又は申請により求められた許認可等を拒否しなければならない と規定されています。
 その場で拒否されたり、あるいは返送されるという状態がこの条文に当てはめると、違法な状態であることは読み取ることができます。

 ですが、それをどのような訴えをもって行うかと考えた時に、テキストなどの知識だけでは困惑するところです。
 これは私の持っているテキストの中身が悪いからかもしれませんが、テキストに記載されている訴訟の形式に対する知識だけでは、今回どの類型を選んだらよいのか、非常に分かりにくい問題形式になっています。

 ちなみに、今回当てはめるべき訴訟類型は「不作為の違法確認の訴え」(+申請内容の義務付けの訴え)となります。
 ただし、行政事件訴訟法第37条の記載はこうなっています。

 「不作為の違法確認の訴えは、処分又は裁決についての申請をした者に限り、提起することができる」

 テキストやwebでは、同法3条5項の規定を引用し「不作為の違法確認の訴え」とは、行政庁が法律に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいう という説明から、申請をしたにもかかわらず、処分(棄却や却下を含む)が下されない時に行うものという説明がなされています。

 今回の問題では、申請は行っているのであるから、後は処分がされないことを前提としてこの訴訟類型を選ぶという事になっていますが……かなり発想の飛躍がなければ、たどり着けないように感じられます。

 一応、完全整理択一六法の行政法では、実体要件として相当期間を未だ経過していなくとも、処分をいつなすか全くの未定であり、処分に至るまでに相当期間が経過することが明らかな場合には、違法となりうるという考え方が示されているため、返送という明らかに処分を行う意思を有していないという事を証明することで、相当期間経過前に訴訟を起こしたとしても却下されることはないだろうことは想定されますが、その辺りについても通常のテキストでは掲載されていない部分であり、今回の答えを導く上で障害になる部分だと思います。

 実際、行政手続法が改正された当時に論争があり、返送は申請の拒否処分に当たるのではないかという事が争われた事案があるようです。
 それが棄却されたことで、不作為の違法確認の訴えを用いることが一般化されたようですが、この辺りも検索して細かく調べ、それによってようやく判明するようなことであり、それをその当時の受験生が知っていることを期待するというのは無理ではないかな? と感じてしまいました。

 あくまでも個人的な感想ではありますが、これは普通に勉強していれば解けるという性質の問題ではないように感じます。
 ひとひねりしただけ、と言われるかもしれませんが、それが相当厄介な部分だと思いました。

« もう一年の努力 | トップページ | 地方自治法第113条における「定足数」について(注:2024年3月5日追記あり) »

学問・資格」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« もう一年の努力 | トップページ | 地方自治法第113条における「定足数」について(注:2024年3月5日追記あり) »

2024年3月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            
無料ブログはココログ