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2009年3月 4日 (水)

公正証書遺言でも、安心できない!

 昨日、久しぶりに友人と飲む機会がありました。
 ところが、なにやらかなり不機嫌な様子…。
 仕事で何かあったのかと聞いてみたところ、とんでもないことを口にしていました。

 なんと、「公正証書遺言に反した、登記を行った司法書士がいる」…とのことなのです!

 詳しい経緯(もっとも、かなりガンガン飲んでいたので、聞き取れた範囲になりますが)は、次のようなことでした。

 まず、最初にその事務所が、「連件(数件の申請をひとまとめにすることで、途中に別の登記が入って、順番がずれなくするための処理です)」で、一人の人間に対して、相続と遺贈(相続権が無い人に、譲ることが出来る制度です)の登記を出してきたそうです。
 そのときは、彼が遺贈の登記を調べて、公正証書遺言(お金のかかる、もっとも信頼できる遺言の形式です)の中に、「全ての財産をAに譲る」という文言を発見しました。
 この場合、全ての財産はAのものになるのですから、当然相続が発生するはずが無く、間違った登記をしているということになります。
 彼の指摘によって、一度この事件は、取り下げさせることになりました。

 その後、今度は「時間差」で、先に相続の登記を出してきたのです。
 残念ながら、法務局では、「書面審査=形式審査」なので、形式が整っている以上、実態的な権利関係には踏み込むことが出来ず、その登記はそのまま進み、登記記録に記載もされてしまいました。
 その後に、遺贈の登記を出してきたのです!

 添付されている書面に、余計な文言が数多く含まれているため、すぐにこの事件のことだと気付いた彼は、登記を止めようとしたらしいのですが…書面審査である以上、どうしようもない、ということを告げられたそうです…。
 また、これは明らかに、司法書士法に違反する、脱法行為であるにもかかわらず、上司の腰は重く、まったく動こうとしないとか…。
 お役所の事なかれ主義が、こんなところにまで発揮されていることに、彼は怒りを覚えたようです。

 何よりも、一番彼が怒っていたのは、「公正証書遺言」で、子への相続をさせないように、注意を払って亡くなった故人の意思を、踏みにじるような形で、登記を行っているということでした。
 いくら遺留分があるからといって、それは行使して初めて効果があるものであり、まず一旦は遺贈が優先され、その後に遺留分減殺請求を行わなければ、ならないはずなのに、その手続きをすっぽかして、こんなやり方を行うというのは、明らかな脱法行為で、許せない…とのことでした。

 ブログに掲載していいかと尋ねたところ、「むしろ積極的に、こんな事例があるということを知らしめて欲しい」とのことだったので、記事にしました。
 お金をかけて行う、公正証書遺言によってなお、故人の意思が保たれないとなると…果たして、どうやったらいいのか、分からなくなってしまいます。
 最後の手段として、「廃除」という、その人間を相続人からはずすということもありますが、最近ではめったに認められていないようですし…。
 本当に、ひどいことが行われているのだな、と、感じてしまいました。

 追記…先例によると、「遺留分減殺請求を、遺贈の登記よりも先に行った場合」は、相続の登記ができるそうです。
 しかし、その結果、遺留分を超える相続の登記が提出される危険があり、そちらに対しての歯止めは、一切ないというのが現状です…。
 脱法行為ではなかったものの、このような事態が発生することを考えると、やはり公正証書遺言だけで、安心することはできそうにありません。

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